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「疲れたな」と感じたら、普通は「疲れているんだ」と考えます。
仕事をして、家事をして、人と話して、ようやく一日が終わる。
ベッドに入ったときに「今日は疲れた」と感じる。
これは、とても当たり前のことです。
でも、身体について少し考えてみると、
「身体が疲れていること」と「自分が疲れを感じていること」は、本当に同じなのでしょうか。
「疲労」と「疲労感」は少し違う
私たちが普段「疲れた」と言うとき、その中には少なくとも二つのものがあります。
ひとつは、身体や心に生じている「疲労」。
もうひとつは、自分自身が「疲れた」と感じる「疲労感」です。
この二つはもちろん関係しています。
たくさん歩いたあとに脚が重く感じたり、運動したあとに身体がだるくなったりするように、身体への負荷が大きくなれば疲労感も強くなることが多いでしょう。
ところが、疲労と疲労感は、いつでも完全に一致するわけではありません。
疲れているのに、疲れを感じていないこともある
例えば、仕事がとても楽しいとき。
大きな仕事をやり遂げたとき。
周囲から褒められたり、評価されたりしたとき。
そんな日は、かなり身体を使っていたとしても、
「今日は全然疲れていない」
「まだまだ頑張れそう」
と感じることがあります。
ところが、実際には身体に疲労が蓄積していることもあります。
仕事が終わった途端に急に身体が重くなったり、休日になったら一気に疲れが出たりするのも、その一例として考えられます。
これは、疲労そのものがなくなったということではありません。
報酬や達成感などによって、疲労のサインを感じ取りにくくなることがあるのです。
「疲れを感じていない=疲れていない」ではない
ここは、疲労を考えるうえで意外と重要なところです。
私たちは、自分の身体の状態を直接見ることはできません。
「今日は筋肉にこれだけ疲労がたまっています」
「脳がこれだけ疲れています」
と、身体の中にメーターが表示されているわけではありません。
その代わりに、だるい、重い、眠い、集中できない、やる気が出ないなど、さまざまな「サイン」を受け取っています。
ところが、仕事への充実感や達成感が強いときには、そうしたサインを感じ取りにくくなることがあります。
つまり、
「疲れを感じていない」
ということと、
「疲労がない」
ということは、必ずしも同じではありません。
逆に、身体を休めても「疲れた」と感じることもある
そして、話はここで終わりません。
反対に、
「今日は何もしていないのに疲れた」
「休日にゆっくりしたのに、疲れが取れない」
「ちゃんと寝たはずなのに、まだ疲れている」
ということもあります。
こちらの場合は、身体にどれだけ負荷がかかったかだけでは説明できないことがあります。
睡眠、ストレス、気分、頭を使い続けたことなど、さまざまな要素が疲労感に関係するからです。
つまり私たちの「疲れた」という感覚は、身体の疲労をそのまま表示する単純なメーターではありません。
「疲れ」は身体から届く情報のひとつ
そう考えると、疲労感は少し違った見方ができます。
疲労感は、
「今の自分は、この状態を負担に感じています」
という、身体や脳から届く情報のひとつと考えることができます。
その情報は、とても大切です。
でも、いつでも正確にすべてを教えてくれるとは限りません。
楽しく仕事をしているときには、疲労のサインを感じ取りにくくなることがある。
反対に、身体的な負荷がそれほど大きくなくても、強いストレスや認知的な負荷などによって、強い疲労感を覚えることもある。
だからこそ、「疲れ」という一言だけで身体の状態を判断するのは、意外と難しいのです。
では、「疲れたら休む」で十分なのか?
もちろん、疲れているなら休むことは大切です。
身体に大きな負荷がかかったのであれば、その負荷を減らし、睡眠などによって回復する時間を確保する必要があります。
ただ、
「疲れたから休む」
だけでは説明できない疲れもあります。
疲労があるのに、そのサインを感じ取りにくくなっている場合もあれば、身体を休ませているのに疲労感が残る場合もある。
そう考えると、
「自分は今、どんな疲れを感じているのだろう?」
と考えてみることが、意外と大切なのかもしれません。
「疲れている自分」に気づくために
仕事が楽しくて、まだ頑張れそう。
大きな仕事を終えて、達成感がある。
周囲から評価されて、もっと頑張りたい。
こういう状態は決して悪いことではありません。
むしろ、仕事や生活に充実感があるのは、とても良いことです。
ただ、その充実感が強いときほど、身体から出ている疲労のサインを見落としていないか、一度立ち止まってみてもいい。
「疲れた」と感じてから休むだけではなく、
「最近、眠りが浅くないか」
「以前より集中しにくくなっていないか」
「身体が重く感じることが増えていないか」
「休みの日になって急に動けなくならないか」
そんな小さな変化にも目を向けてみる。
まずは、自分の身体が今どんな状態なのかを知ること。
疲労感をなくすことよりも、身体が出しているサインに気づくこと。
それも、身体を整えるための一つの方法なのかもしれません。
「休んでいるのに疲れている」のは、なぜ?
ここまで考えると、もう一つ気になることがあります。
「疲れているのに気づきにくくなる」ことがある一方で、
「ちゃんと休んでいるのに、疲れた感じが残る」
こともある。
これは一見すると、正反対の現象です。
なぜ、身体を休ませているのに疲労感が残るのでしょうか。
「休んでるのに疲れてる」という感覚を考えるには、疲労だけではなく、ストレスや脳の働き、日常生活の中で受けているさまざまな刺激についても考えてみる必要があります。
次は、「休んでるのに疲れてるのはなぜ?」という、もう一つの疑問を考えてみます。