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「ちゃんと寝ているはずなのに、疲れが取れない」
「休日はゆっくりしているのに、月曜日になるともう疲れている」
「身体を休ませているはずなのに、なんとなくずっと疲れている」
そんな経験はないでしょうか。
疲れているなら休む。
これは、とても分かりやすい考え方です。
実際、身体に負荷がかかっているなら、休息は大切です。
でも、もし十分に休んでいるのに疲労感が残るとしたら。
そのときは、「身体を休ませる」ということだけでは、疲れを説明できないのかもしれません。
横になっていることと、「休めていること」は同じなのか
一日中仕事をして、家に帰る。
ソファに座ってスマートフォンを見る。
ベッドに入って動画を見る。
休日になったので、家でゆっくり過ごす。
身体だけを見れば、かなり休んでいるように思えます。
でも、その間も私たちは、さまざまな情報を受け取っています。
スマートフォンの通知。
仕事のメッセージ。
SNS。
ニュース。
家族や友人とのやり取り。
明日の予定。
「あの仕事、どうしよう」
「さっきの言い方はまずかったかな」
そんなことを考えているかもしれません。
身体を横にしていても、脳まで完全に停止しているわけではありません。
人間の脳は、意識していないことも処理している
私たちは、自分が考えていることなら自覚できます。
「今日は仕事が忙しかった」
「明日は何時に起きよう」
「夕食は何にしよう」
といったことです。
一方で、人間の脳が扱っている情報は、それだけではありません。
過去の経験や周囲の状況など、本人がはっきり意識していない情報が、その後の判断や行動に影響することもあります。
例えば、以前に経験したことを「覚えている」と意識していなくても、何となく嫌な感じがする。
逆に、はっきりした理由は説明できないのに、「こっちのほうが良さそう」と感じる。
こうしたことからも、私たちの脳が「自分が今考えていること」だけを処理しているわけではないことが分かります。
「忙しい」とき、脳は何をしているのか
仕事では、複数のことを同時に処理しなければならない場面があります。
メールを確認しながら電話に対応する。
会話をしながら別のことを考える。
パソコンで作業しながら、届いた通知にも反応する。
一見すると「同時にいくつものことをこなしている」ように見えます。
しかし、人間の情報処理には限界があります。
複数のことを処理するとき、すべてを同じ強さで処理しているわけではありません。
ある情報に注意を向ければ、別の情報への反応が小さくなることもあります。
つまり、「忙しい状態」とは、単純に仕事量が多いというだけではなく、脳が次々と情報を切り替えながら処理している状態でもあるわけです。
仕事が終わっても、頭の中では続いていることがある
ここが、「休んでいるのに疲れている」を考えるうえで大切なところです。
仕事が終わったからといって、仕事に関することを完全に頭から切り離せるとは限りません。
「あのメール、明日返さないと」
「今日の仕事、あれで大丈夫だったかな」
「次の会議はどうしよう」
そんなことを考えていれば、身体は休んでいても、頭の中では仕事の続きをしているような状態になることがあります。
さらに仕事だけではありません。
家族のこと、人間関係、お金のこと、将来のこと。
日常生活には、身体を動かさなくても頭を使うことがたくさんあります。
「何もしていない」のに、頭の中ではずっと何かを処理している。
そんな休み方もあります。
「疲れたから休む」だけでは足りないことがある
もちろん、これだけで「休んでも疲れる原因は脳にある」と決めつけることはできません。
疲労感には、睡眠、身体活動、ストレス、体調など、さまざまな要素が関係します。
ただ、
「身体を休ませること」と「自分が受けている刺激や負荷が減ること」は、必ずしも同じではない。
この視点は持っておいてもよさそうです。
ベッドに入ってからスマートフォンを見続ける。
休日も仕事の連絡を確認する。
何もしていない時間にも、頭の中で仕事や人間関係について考え続ける。
これらは身体を横にしていても、刺激や情報処理が完全になくなっているわけではありません。
では、脳も休ませればいいのか?
ここで、
「じゃあ、何も考えなければいい」
となると、また少し話が違ってきます。
人間は、何も考えないようにすること自体が難しいからです。
それに、脳にとっては「何もしないこと」だけが休息とは限りません。
好きな音楽を聴く。
散歩をする。
人と話す。
本を読む。
お風呂に入る。
軽く身体を動かす。
人によっては、こうした活動をしているほうが、仕事のことを忘れられるかもしれません。
つまり、「休む」ということを、単純に「活動量をゼロにすること」と考えないほうがよさそうです。
「休む」とは、何を休ませることなのか
身体が疲れているなら、身体を休ませる。
頭を使い続けているなら、仕事や情報から離れる時間をつくる。
緊張が続いているなら、安心できる環境に身を置く。
眠れていないなら、睡眠を確保する。
こうして考えると、「休む」という言葉は意外と大ざっぱです。
同じ「休日」でも、何をして過ごすかによって、自分が受ける刺激は大きく違います。
だから、
「休んでいるのに疲れている」
と感じたときには、
「休む時間は足りているか?」
だけではなく、
「私は何を休ませる必要があるのだろう?」
と考えてみるのも一つの方法かもしれません。
自分の状態を知ることから始める
①では、「疲労」と「疲労感」は同じではなく、疲労のサインを感じ取りにくくなることもある、という話をしました。
②では、その逆のように見える、
「休んでいるのに疲れた感じが残る」
という状態を考えています。
どちらにも共通しているのは、
「疲れ」という感覚だけでは、自分の身体の状態をすべて説明できない
ということです。
だからこそ、まずは自分の状態を知る。
身体が疲れているのか。
頭を使い続けているのか。
緊張が続いているのか。
睡眠が足りていないのか。
あるいは、それらがいくつも重なっているのか。
「疲れた」という一つの言葉の中身を少し分けて考えてみるだけでも、自分に必要な休み方が変わってくるかもしれません。
休むだけが、回復ではない?
ここまで考えてくると、もう一つの疑問が出てきます。
「では、疲れたときは何もしないで休むのが一番いいのだろうか?」
実は、身体にとっては「休むこと」だけが回復につながるわけではない可能性があります。
歩いたり、軽く身体を動かしたり、適度な刺激を受けたりすることが、身体にとって意味を持つ場合もあります。
疲れているから休む。
それは大切です。
でも、身体にとって必要なのは、本当に「休むことだけ」なのでしょうか。
次は、「身体に必要なのは『休む』ことだけではない?」というところから、回復についてもう少し考えてみます。